2022.08.10

「Green UNDER GROUND」駒沢大学駅西口で計画する全国初の耐火・構造技術を導入した木造駅ビルが国土交通省の「令和4年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されました!

駒沢大学

「Green UNDER GROUND」とは田園都市線の地下へと潜る、池尻大橋、三軒茶屋、駒沢大学、桜新町、用賀の5駅のリニューアルプロジェクトです。各駅ではこれまで以上に、安全・安心・快適・便利でサステナブルな駅へと生まれ変わり、より“ワクワク”する駅を目指して新たな挑戦を始めます。このプロジェクトの第1弾である駒沢大学駅リニューアル工事において計画する「(仮称)駒沢大学駅西口ビル(2)」が、木造建築物に係る技術の進展及び普及啓発を図ることを目的とした「令和4年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されました!今回採用した耐火・構造技術を導入した木造駅ビルは全国初となります!

この建物が位置する駅前商業地域にある狭小敷地は、建築基準法において防火地域に指定されており、4階建て以上の建築物は、耐火建築物としてRC造(鉄筋コンクリート造)やS造(鉄骨造)などで建築されることが多いですが、柱・梁へのLVL(単板積層材)※2による耐火被覆や、LSB※3接合による2方向ラーメン構造などの国内最新技術を掛け合わせることにより、建物の地上部分を木造化するとともに、「建物に対する木材使用率」「レンタブル比率」※4の最大化を目指しました。これらの取り組みが設計・施工技術の普及・啓発に繋がると評価され、この度の採択となりました。
なお、本物件では、CO2約56tを固定化し、CO2排出量を抑制する見込みです。

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今回の取り組み内容を詳しく紹介します!
今回採用したLVL被覆(1時間耐火)は、近年開発されたすべて木製の耐火部材です。国産スギLVLに難燃薬剤処理を施した被覆材であり、そのまま木の現し(建物の内装材、外装材や構造材などで使われている木材を隠さず見せる手法)としています。柱と梁共に耐火被覆した実例は無く、本物件が全国で初めての実例です。
また、木造建築物の場合、事例の多くは1方向ラーメン構造です。また、2方向ラーメンは3階建ての認定工法は存在しますが、4階建ての事例は1件のみです。今回はLSB接合を用いた4階建て2方向ラーメン木造としては本物件が全国初で、2方向ラーメンを実現するための接合部の試験を行い、その挙動を踏まえて設計を行っています。

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※1 駅ビル・・・駅業務を行う施設と、鉄道事業以外に用いられる施設を一体化した建築物のこと (出典:日本民営鉄道協会HP)https://www.mintetsu.or.jp/knowledge/term/16339.html

※2 LVL(単板積層材)・・・ロータリーレースと呼ばれる機械で丸太を切削のうえ単板にして、乾燥し、単板の繊維方向に平行に積層接着させた木質構造部材。単板にして積層接着することで、寸法・強度等の品質安定性が極めて高い。(出典:(一社)全国LVL協会HP)

※3 LSB(ラグスクリューボルト)・・・軸部の周囲に雄ネジを加工し、その端部に雌ネジまたは雄ネジを設けた接合具(出典:(株)ストローグHP)

※4  レンタブル比率・・・建物において、総床面積に対して、賃貸可能面積(収益部分)の占める割合のこと

この計画建物を含めた駒沢大学駅のリニューアルコンセプトは「UNDER THE PARK」。
地域の憩いの場である都立駒沢オリンピック公園の最寄り駅として、心地よくワクワクする公園のように、駒沢公園が持つ「GREEN」や「WELL-BEING」のイメージを継承した空間の創出を目指して昨年夏より着工しました。
駒沢大学駅をまちのシンボルとなる1本の木に見立てました。
この建物を含めた3棟の駅ビルの外観は、まちのシンボルとなる玄関口として、木の葉をイメージするデザインにしています!

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▲【左奥】(仮称)駒沢大学駅西口ビル(1) 【左手前】(仮称)駒沢大学駅西口ビル(2) 【右】(仮称)駒沢大学駅東口ビル イメージ

以上、「Green UNDER GROUND」の駒沢大学駅に併設する計画建物のご紹介でした!
“ワクワク”する駅を目指して、引き続き新たな挑戦を行っていきます!

■(仮称)駒沢大学駅西口ビル(2) 計画概要

用途 店舗・駅舎
敷地面積 約80㎡
延床面積 約330㎡
高さ 約19m
階数 地上4階地下2階
構造 地下RC造地上木造

 

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https://ii.tokyu.co.jp/grows/gug